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◇◆ 大学入試センターメールマガジン 第2号 ◆◇
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【目次】
◇巻頭言
◆新テストニュース
◇テストは語る~入試統計を読み解く~
◆試験問題企画官リレートーク
◇お知らせ
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◇巻頭言
〔大学入試センター理事長 山本廣基〕
センターメールマガジンの9月号をお届けします。
平成33年度大学入学者選抜試験から導入される新テスト
(大学入学共通テスト)の実施方針が文部科学省から公表され、
当センターにおいても新テスト実施企画部を中心に、実施に
向けた具体的な検討を精力的に行っています。
今号の新テストニュースでは、今般の改善の大きな特徴である
「記述式問題」についてそのねらいを解説しています。また、
CBTの世界での利用状況、試験問題企画官のエッセイをお届け
します。
その他、来年の全国大学入学者選抜研究連絡協議会大会の開催
などのお知らせもご覧下さい。
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◆新テストニュース
「記述式問題のねらい」
大学入試とは何のために実施されているのか?と改めて考える
機会は少ないかもしれません。大学側から見れば大学入学希望者
の選抜を行う場ですが、受験生から見れば、それまで積み重ねて
きた学習成果を発揮する場となります。
そうした大学入試で出題される問題は、具体的な試験問題という
形で、大学の教育理念や大学入学時点で求める力を受験生に伝える
ものだと見ることができます。問題の質が高校のカリキュラムの
在り方や生徒の学習の方向付けにも大きな影響を与えることから、
現行のセンター試験の問題についても毎年改善が重ねられてきて
います。
新テストではこうした蓄積を基に、これからの大学教育・高校
教育の改善の方向性を見据えながら、各教科・科目の試験を通じて
「どのような力を評価するのか」をさらに明確にしながら問題
づくりに取り組むことになります。
記述式問題もそうした改善の一環として、言語活動や数学的
活動を通じた高校教育の充実を図り、大学教育の基礎力としても
重要な言語能力や数学的な問題解決能力の育成という学習成果に
効果的につなげる観点から導入されるものです。
本年5月に公表された記述式のモデル問題例は、大学入試
センターのHPに掲載されていますのでご覧ください。
http://www.dnc.ac.jp/corporation/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/model.html 記述式問題について、国語は大問2問とも実用的な文章が
題材となっています。高校の学習指導要領において「実用的
な文章を読んで話し合う言語活動」が指導内容となっており、
大学教育の基礎力となる言語能力を育む題材としても適切で
あると考えられながら、これまで大学入試で取り上げられる
ことの極めて少なかった題材に光を当てるものです。
ただし、マークシート問題を含めた国語の問題全体としては、
評論などの論理的な文章、小説などの文学的な文章、古文、
漢文等もバランスよく扱われることにご留意ください。
数学は、さまざまな分野でバランスよく記述式問題を出題
できるよう、記述式をマークシート式と混在させることとして
います。数学の記述式というと証明問題などがイメージされる
かもしれませんが、新テストで問われる数学の表現力とは、
考えた結果や問題解決の方略などを数式などで書き表すことが
できることです。問題解決の過程を自由度の高い記述で証明
するような問題は、各大学の個別選抜に委ねられることと
なります。
国語においては、文字数80~120字程度の問題を含め
記述式は小問3問程度、試験時間は全体で100分程度(現行は
80分)、数学においては、記述式は小問3問程度、試験時間は
全体で70分程度(現行は60分)が想定されています。
こうした時間と問題数のバランスや採点方法、自己採点の在り方
など、今後の検証課題については、29年11月及び30年秋頃
にプレテストを実施し、新テスト本番に向けた制度設計に反映して
いく予定です。
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◇テストは語る~入試統計を読み解く~
「CBT(情報端末利用型の試験)の世界での利用状況」
2017年現在、世界各国では情報端末を利用した試験、すなわち
CBTが様々な形で実施されています。CBTの特長の一つは、メディア
を活用した出題が可能になることです。例えば、外国語の試験に
おいて人が会話している状況を動画で見せれば、現実に近い状況
の再現が可能になります。受験者の発音も録音もできるでしょう。
外国語の試験以外であれば、化学実験の動画を用いることで
「実験による状況の変化を捉えた上で、その気付きを自ら保持
している知識と併せた上で正答に結び付けられるか」など、
より妥当性の高い試験を実施することも可能になります。
もう一つの特長は、試験運用をより利便性の高いものにすることが
できるということです。例えば、インドでは工学系の大学を志望
する者に対しておこなわれるJoint Entrance Examination (Main)
と呼ばれる試験があります。この試験では、全受験者の20%近くが
CBTで受験していますが、興味深いことにCBTでの受験を選ぶと
受験料が半額になります。これは、物流環境によっては試験問題
冊子・解答用紙の印刷・運搬・管理等の安全性やコストを、CBTに
することで改善できることを示唆しています。さらに他国の状況
を見てみると、中国の北京市では2017年から英語試験において
CBT導入がなされます。米国の医師国家試験はCBTによって運用
されていますし、米国フロリダ州の教員採用試験でもCBTが利用
されています。それぞれ、CBTの特性を活かした形で試験運用が
なされています。日本でも、このようなCBTの特長を活かし、
大学入試でも様々な形で検討が進められています。
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◆試験問題企画官リレートーク
「はじめに感じた あれっ?」
〔大学入試センター 新テスト実施企画部
試験問題企画官(日本史担当)〕
東京への単身赴任、仕事上の重い責任と不安なことの方が
多かったですが、同僚にも恵まれたことやこれからお話しする
日々の楽しみもあり、とても充実して仕事をさせていただいて
います。
私は、毎日の通勤で同じ会社の二つの鉄道路線を使っています。
途中駅で路線を乗り換えると、「あれっ?」とまず感じました。
「あれっ?」の正体は、車内の広さが違うことでした。同じ会社
なのに「なぜ?規格が違う電車を走らせているのだろう?」って
電車を降りて線路を見ると、線路幅が違っており、その違いが
車両の大きさに反映していることやかつては別会社の路線で
あったことなどが分かってきました。一つのことが分かると
もっと知りたくなります。通勤で利用する「駒場東大前」駅…
東大に近いので、「東大前」は分かるけれど、「なぜ?駒場が
付くのだろう?」と…古い地図を見てみると、昔は「駒場」と
「東大前」二つの駅だったようで、一つに統合されたそうです。
「では、その名残はあるのだろうか?」。駅周辺を歩いてみると、
東大前商店街は、かつての東大前駅の正面に当たるところにあり、
駅前によく見られる広告看板もそのあたりにあります。かつての
駒場駅の場所には片側⊿のコンクリート擁壁がホームの遺構として
残っていました。最初に感じた「あれっ?」からはじまり、
この地域の歴史の一端が少しずつですが分かってきました。
新テストでは、思考力・判断力・表現力が一層重視されます。
私自身も、もっと日々の生活の中で「あれっ?」や「なぜ?」
を見つけて、思考力などの力を磨いていければと思っています。
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◇お知らせ
●「平成30年度全国大学入学者選抜研究連絡協議会大会(第13回)
開催のお知らせ」
平成30年度の全国大学入学者選抜研究連絡協議会大会(第13回)
について、開催日・場所が以下のとおり決まりましたので、
お知らせいたします。
【開催日】
平成30年5月24日(木)~平成30年5月26日(土)の3日間
【開催場所】
国立大学法人電気通信大学
東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
※プログラム等については、随時,本メルマガや大学入試
センターホームページでお知らせいたします。
●「平成30年度センター試験利用大学情報を公開しました」
平成30年度センター試験利用大学情報を当センターホーム
ページに公開しました。当サイトには、センター試験利用
大学の入試情報を掲載しています。下記URLよりご覧ください。
【センター試験利用大学情報】
http://www.dnc.ac.jp/center/daigaku_jouhou.html━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…