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入研協ニュースNo.10

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巻頭言

平成26年度全国大学入学者選抜研究連絡協議会大会(第9回)を共催して

 

岩手大学理事(教育・学生担当)・副学長
 丸山 仁

 
 平成26年5月29日、30日の2日間、第9回全国大学入学者選抜研究連絡協議会大会が岩手県のアイーナいわて県民情報交流センターで開催されました。当日は大学関係のみならず、高等学校、塾・予備校等の関係者の皆様に全国各地より多数のご来場をいただき、共催大学として深く感謝を申し上げます。また、大学入試センターをはじめ、本大会の企画に携わってこられた皆様方には、様々なご尽力をいただきまして心より御礼申し上げます。
 企画討論会では、「高校教育・大学入試・大学教育の関係再考―それぞれどのような能力を育成し、どのように測定しようとしているのか―」をテーマに、3名のパネリストがそれぞれ「高校教育で育成しようとしている能力」、「大学教育に求められている能力」、「大学入試で測っている能力」について報告を行い、その後の討論を通じて、関係者の共通理解を図りました。
 さて全国的に18歳人口の減少が予測されているわけですが、とりわけ地方における同人口の大幅な減少が危惧されています。一方で都道府県別の大学・短大進学率には大きな地域差があります。今後日本が先進諸外国並みに高等教育への進学率向上を目指すためには、地方における進学率の改善が欠かせません。こうした問題意識を背景として、共催大学である岩手大学が担当させていただきました公開討論会は、「大学進学の地域における現状とその改善方策について」というテーマで実施しました。
パネリストに関しましては、本テーマにふさわしい方々ということで、地元の高校を代表して、岩手県立黒沢尻北高等学校長の北村東氏、地方の大学を代表して、高知大学総合教育センター入試部門長・准教授の永野拓矢氏、最後に受験産業を代表して、ベネッセ教育総合研究所高等教育研究室主席研究員の山下仁司氏にお願いし、司会を岩手大学理事・副学長の丸山仁が務めさせていただきました。3名のパネリストからそれぞれ報告をしていただいた後に、会場からの質問に回答する形でパネルディスカッションを行い、さらに議論を深めました。
 最初の北村先生からは、「高校の現状と課題とその取り組み」というテーマで、進学をめぐる地元高校の現状と課題について、沿線、沿岸、中山間の3つの地域に分けて、現場の進路指導の実態を中心に詳細な報告をしていただきました。永野先生からは、「地元の進学率向上を意識した入試戦略」というテーマで、地元の進学率向上のために何ができるのか、何をしなければいけないのかを高知大学の実践を踏まえてご提言いただきました。高知大学では、「地(知)の拠点整備事業(COC事業)」を梃とした地域連携活動の強化と、入試における地域枠の導入が進学率向上戦略の柱になるということでした。山下先生からは、「地域の大学をめぐる環境と、高校生の進学行動との関係性」というテーマで、様々な観点から、地域の大学をめぐる環境と、高校生の進学行動との相関について分析をしていただきました。北村先生のお話にでも出てきたのですが、そもそも何のために大学に進学するのか、大学で何ができるのかという動機づけの部分で、大学側もまだまだ説明の努力が足りないということを認識させられました。またこれは永野先生の報告にも通じるのですが、東北を含む地方の場合、学力的要因のみならず、経済的要因が進学の妨げの実態になっているという分析結果を重く受け止めました。
 「地方における大学進学率の向上」を主要なテーマとした今回の討論会を通じて、「地域ごとの現状を踏まえ、データベースで考える、対策を立てることの重要性」と、「高大連携の促進の重要性」に関して、改めて認識を深めることができたように思います。最後に、これは入試という枠を超える課題ですが、敢えて付言しておきます。ある程度地方において進学率の向上が実現したとしても、このまま人口減少、流出が止まらなければ、いずれ地方の大学が立ち行かなくなることは明らかです。とりわけ地方の大学は、地域と共存共栄を図るしかない。言い替えるなら、大学として地域の経済、社会の活性化にどこまで貢献できるのかがこれまで以上に問われる時代に入っている。そういう思いを痛感させられた討論会となりました。 
 大学入試センターセミナーを含め、企画討論会、公開討論会、研究会と3日間の日程を無事に終えることができたのも、関係された皆様方のご尽力の賜物であり、ここに改めて感謝申し上げる次第です。そして東日本大震災の復興途上にある今、このような機会を与えていただきました関係者の皆様に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
 

 

主催者挨拶

独立行政法人 大学入試センター理事長
山本 廣基
 
 平成26年度の全国大学入学者選抜研究連絡協議会の大会開催にあたりまして一言ご挨拶申し上げます。盛岡も昨日から大変暑くて驚いています。遠路、全国各地から大勢お集まりいただき有難うございます。
 ご承知のように、この大会は、国立大学における入学者選抜に関する研究の交流と協力を推進し、入学者選抜方法の改善に寄与することを目的に、昭和55年から毎年1回、開催されてまいりました。平成18年からは、大学の入学者の選抜方法の改善に関する調査及び研究に関する研究交流の一層の推進に資するために、国公私立大学の研究者並びに入試事務担当者を対象として開催しているところでございます。
 今年は、岩手大学様との共催によりまして、第9回を開催する運びになりました。本大会におきましては、「高校教育・大学入試・大学教育の関係再考」をテーマとする企画討論会、及び「大学進学の地域における現状とその改善方策について」をテーマとする公開討論会を予定していますが、いずれも、広く一般の方々にも公開することとしてございます。高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の在り方に係る一体的な改革、また今後の我が国の大学進学率の向上に向けた改善方策について考える機会にしていただけたらというふうに思っています。
 昨年のこの大会の当日の朝、日本経済新聞の1面トップに「センター試験廃止へ」という記事が出ました。皆様方もそうだったでしょうが、我々も突然のことに大変驚いたところです。その後、皆様方も十分ご承知のように、政府の教育再生実行会議での議論が始まり、昨年10月31日に第4次提言「高等学校教育と大学教育との接続、大学入学者選抜の在り方について」が取りまとめられ、それを受けた中央教育審議会での議論、その他いろいろな場で大学入試改革が取り上げられているところです。これらの議論の動向につきましては後ほどご挨拶を頂く文部科学省の平野室長から触れられるかもしれませんが、中央教育審議会高大接続特別部会の最終まとめがこの夏に出されるという風に聞いております。
 大学入学者選抜につきましては、高等学校と大学をつなぐ大変重要な役割も担っており、またその改善や、あるいはその動向は社会的にも大変関心が高いことは言うまでもありません。このような背景の中で、こうして大学入学者選抜に関わる人たちが一堂に会し、日頃の活動の成果について交流する機会を持つことはまことに重要であると考えております。今回の企画討論会や公開討論会、そして個別研究発表を通じて、より一層の交流が推進され、大学の入学者選抜の方法が改善されていくことを期待するものでございます。
 最後になりましたが、本大会におきましてご講演いただく方々、そして今回、特にこの大会の開催に多大なご尽力いただきました堺学長をはじめとする岩手大学の皆様、そして全国から遠路参加していただきました皆様に心より感謝申し上げまして、冒頭の挨拶とさせていただきます。
 

共催校挨拶

岩手大学長
堺 茂樹
 
 ただいまご紹介いただきました岩手大学長の堺でございます。第9回の本大会の共催校を代表いたしまして、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、ご来賓として文部科学省より高等教育局大学振興課大学入試室の平野室長においでいただいております。お忙しい中、遠路おいでいただきましたことに心より感謝申し上げます。
 また、大学教育や入学者選抜に造詣の深い諸先生方にも数多くおいでいただいておりますことを、我々岩手大学教職員一同、心よりお礼申し上げます。
 さて、本大会の公開討論会のテーマですが、「大学進学の地域における現状とその改善方策について」とあります。その背景には、今後も続く18歳人口の減少、特に地方での減少傾向が顕著であることと、さらには地方ほど大学進学率が低く、この傾向と相まって我が国全体の大学進学率の向上には、地方での進学率を改善しなければならないということがあります。地方の国立大学であります岩手大学も、まさにご指摘のように18歳人口の減少と県内の大学進学率の低さという状況に直面しております。
 大学進学率の向上のために岩手大学といたしましても、岩手大学のPRだけではなく、大学の楽しさ、あるいは学問の楽しさを伝える活動にも力を注いでおりますが、すぐに効果があらわれるものではございません。
 ただ、継続こそ力と信じ、こうした活動を続けておりますが、皆様のご経験やご提言を参考にさせていただきながら、私どもの活動の強化、充実につなげていきたいと思っております。
 昨日から明日まで3日間の長丁場でございますが、有意義な大会になりますように我々も尽力したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 全国から参加していただきました皆様にとりまして実り多い大会となることを願いまして、甚だ簡単ではございますが、共催校の挨拶にかえさせていただきます。。

来賓挨拶

文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室長
平野 誠
 
 皆様、おはようございます。文部科学省の平野でございます。全国大学入学者選抜研究連絡協議会第9回大会の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
 このたび、大学入試センター及び全国の国公私立大学の連携協力によりまして、全国大学入学者選抜研究連絡協議会第9回大会が開催されますことを、心よりお喜び申し上げます。
 大学入学者選抜は、大学教育、初等中等教育の両方に影響を与える非常に国民の関心の高いテーマでもございまして、教育再生を掲げる安倍内閣のもとでも重要なテーマの一つとして位置づけられているというところでございます。
 大学入学者選抜については、常にさまざまな課題が指摘されてきたところでございますけれども、特に近年におきましては、グローバルに活躍する人材、あるいはイノベーティブな人材を育成するという観点からは、学力検査を延長した選抜ではなくて、もっとより多面的な総合的な評価に転換していくべきではないかというようなご意見、あるいは、入学者選抜の中で入学志願者の能力的性向を多面的に評価していくということを目的として導入されたAO入試などが、余り十分な学力把握措置が行われない形で運用されてきているのではないかというようなご懸念、こういった大きく2点の課題が現在では指摘されているというふうに受けとめております。
 こういった状況を踏まえまして、文部科学省におきましては、平成24年8月から中央教育審議会に高大接続特別部会を設置いたしまして、この問題について検討を行ってきたところでございます。
 この間、この中教審の議論と並行する形で官邸におかれました教育再生実行会議におきましても、高大接続、大学入試のあり方について議論が行われて、昨年10月末に第2次提案という形で提言がまとめられたところでございます。ここで提言されました達成度テスト(基礎)レベル及び発展レベルのあり方などを中心に今、中央教育審議会のほうで検討を進めているという状況でございます。
 中央教育審議会のほうにおきましては、今年の3月末に、これまでの議論の経過を整理した審議経過報告というものをとりまとめたものでところでございます。これに対しまして、関係団体等からの意見募集も行ったところでございまして、こういったいただいたご意見等も踏まえながら今後さらに検討を深めまして、夏ごろまでには一度、答申という形でとりまとめに持っていければと考えているところでございます。
 教育再生実行会議、中央教育審議会、いずれの議論も、これからの時代に求められる人材を育成していくという観点から、高等学校教育と大学教育と、その接点である大学入学者選抜との一体的な改革が必要であるということ、そして、大学入学者選抜については多面的、総合的に評価する大学入学者選抜への転換を促進していくということ、この2点については共通した課題意識として掲げて議論が進められているという状況でございます。
 この基本的な検討の方向性については、多くの皆様にとって特に大きな異論はないと思われますけれども、そのための具体的な方策という点では、さまざまな議論があるところだと思っております。これからの答申とりまとめに向けた議論や、答申を踏まえたその後の専門的な検討ということが今後必要になってくるわけでございますけれども、その際には、本日お集まりの皆様のさまざまなご意見や、さまざまな知見というものも活用しつつ、検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 このような中で、本大会を通じまして国公私立大学が一堂に会しまして入学者選抜の改善に資する研究、交流を図り、大学と受験生とのよりよい相互選択の実現を目指して積極的に協議をいただくということは、まことに有意義なものでございまして、今後の議論にも資するものと考えております。
 今回の大会では、高校教育、大学入試、大学教育の関係再考などをテーマといたしました企画討論会や、高校教育、選抜方法に関する研究会等、さまざまなプログラムが開催されると聞いているところでございます。直面する課題について、活発な情報交換と研究交流が図られることにより、我が国全体の大学入学者選抜の改善が一層推進され、大学の人材育成機能の強化にも資することを願っております。
 最後になりましたが、今回の大会が本日ご参集皆様にとって実り多きものになりますことを祈念いたしまして、私からの開会に向けてのご挨拶とさせていただきます。
 ありがとうございました。

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