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第2期中期目標

独立行政法人大学入試センターの中期目標
平成18年4月1日
文部科学大臣指示
(序文)
独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条の規定により、独立行政法人大学入試センター(以下「センター」という。)が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を次のとおり定める。
 
 
(前文)
センターは、大学入学者選抜に関する以下の業務を総合的に行うことにより、大学入学志願者が自らの能力、適性、意欲、関心に合った大学に進学することが可能となり、また、大学としてもその教育理念・目標に応じて「求める学生」を見いだすことが可能となる等の大学入学者選抜の改善を図り、ついては高等学校教育及び大学教育が適切に行われることに資することを基本的な目標とする。
 
1.大学入試センター試験(以下「センター試験」という。)に関し、問題の作成及び採点など一括して処理することが適当な業務
2.大学の入学者の選抜方法の改善に関する調査及び研究
3.大学に入学を志望する者の進路選択に資するための大学に関する情報の提供
 
中期目標の期間においては、恒常的に行うべき業務を確実に実施するとともに、大学入学者選抜に関する様々な改善策に関する調査・検討を積極的に行うことが必要である。
 
このような理念・役割のもと、平成18年3月までの第1期中期目標期間における業務の実績についての文部科学省評価委員会からの評価結果や、「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」(平成15年8月1日閣議決定)及び「今後の行政改革の方針」(平成16 年12月24日閣議決定)等を踏まえ、センターの事務及び事業について見直しを行った結果、センターの中期目標を、以下のとおりとする。

Ⅰ中期目標の期間

センター試験は高等学校段階の基礎的な学習の達成度を判定することを主たる目的とするものであり、試験問題は高等学校学習指導要領に準拠して作成されるものであること、また、客観的な手法により収集された入学者選抜に関するデータを多面的に調査研究することなどから、センター業務は長期的視点に立って行われる必要がある。このためセンターの中期目標期間は、平成18年4月1日から平成23年3月31日までの5年間とする。

Ⅱ業務運営の効率化に関する事項

1.組織体制

各組織の業務の精査や円滑な研究の遂行等により、効率的かつ円滑な業務運営を図る。

2.管理運営業務等

(1) センターの業務運営に関しては、社会情勢の変化等も勘案しながら、既存業務の徹底した見直し、効率化を進めるとともに、外部資金の積極的導入などにより 自己収入の増に努め、平成17年度予算を基準として、中期目標期間中に一般管理費(退職手当を除く)については15.0%以上を、その他の事業費(退職手 当を除く)については5.0%以上の効率化を図る。
 
(2) 「独立行政法人等の業務・システム最適化実現方策」(2005年6月29日各府省庁情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)を踏まえ、大型汎用コン ピュータを用いた現行の大学入試センター試験システムについては、コスト削減、調達における透明性の確保及び業務運営の効率化・合理化を図る観点から、国 の行政機関の取組に準じて、業務・システムに関する最適化を行うこととして、平成19年度末までのできる限り早期に最適化計画を策定し、センター試験業務 の秘密保持に配慮した上で公表する。
 
(3) 受験者のニーズに配慮した上で、業務を一層効率的に実施するため、試験会場の集約や試験問題等の印刷経費の削減に取り組む。
 
(4) 進路指導関係セミナーの開催地区数は、高等学校における連携協力の自主的な取組が行われている地区があることを踏まえ、より効果的かつ効率的に実施するため、第1期中期目標期間における実数の半数程度とする。
 
(5) その他、業務運営全般について、秘密保持に配慮しつつ可能なものから業務の外部委託を促進するとともに、自己点検・評価を実施し、その評価に則って業務の見直しを行う。

III 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

1.センター試験の確実な実施による適切な大学入学者選抜の実現への貢献

大学とセンターが共同して実施するセンター試験は、多くの大学が入学者選抜の一環として利用しているものであり、問題の作成や採点の確実な実施や、センター試験の全利用大学における円滑な実施が行われることにより、各大学の適切な入学者選抜が実現されることとなる。このため、センターは次に掲げる業務を滞りなく確実に実施することが必要である。
 
また、業務を行うに当たっては、高等学校の教育内容の実態、大学からのニーズ及び入試改善に向けての国の審議会の答申等に対応し、センター試験の内容・方法等の改善に取り組むものとする。
 
 
(1)センター試験の問題作成
センター試験は、各大学に対し、大学入学志願者の大学で学ぶために必要な能力・適性等に関する信頼性の高い情報を提供することが求められていることから、 良質な問題を作成することは非常に重要な使命である。このため、毎年の問題作成及び点検を厳格に行うための体制の整備を図るとともに、試験問題に関する自 己点検・評価、第三者評価を行い、それぞれ70%以上が良問であるとの評価を得られるよう、適切な問題作成に努める。また、評価結果を公表した上で、その 評価結果に基づいた改善を図る。
なお、試験問題の作成に当たる委員の業務量を削減しつつ、効果的・効率的に質の高い良問を作成するため、過去のセンター試験問題や教科書の記述内容等のデータベース化を進める。
また、高等学校学習指導要領の改訂を視野に入れ、問題作成などについて適切に備えるよう努力する。
 
(2)センター試験の円滑な実施
センター試験は全国の大学において同一の期日(2日間)に同一の試験問題により行われるものであり、受験者にとって公平かつ公正に実施されることが求めら れる。このため、大学の円滑な試験実施や試験問題の管理、輸送に関する方針を定めることなどにより、センター試験を円滑に実施する。
なお、障害のある者等に対して、その能力・適性等に応じた進学の機会を広げる観点から、公平に受験することができるように必要な措置を講じる。
 
(3)センター試験の採点・成績提供
センター試験の採点及び成績提供を行うための体制を整備することにより、利用大学の多様なニーズに対応した改善を図るとともに、受験者が自己の学習の成果 を把握し、その後の学習上の参考とすることが可能となるよう、入学者選抜の全体日程終了後に、希望する受験者本人に対しセンター試験の成績を開示する。
 
(4)センター試験に関する調査研究
センター試験は、高等学校段階における学習の達成の程度を判定することを主たる目的としており、大学入学志願者の能力・適性に関して信頼性の高い多様な情 報を大学に提供することにより、より多くの大学がセンター試験を利用することにつながるとともに、高等学校教育の多様化を支援することにもつながることが 考えられることから、国の審議会等においてセンター試験の改善について指摘されている内容を踏まえ、センター試験の改善方策等に関して、計画を立案した上 で、導入に際しての課題等について次のような調査研究を行い、可能なものから実際の選抜方法や出題内容等に適切に反映していくものとする。
①高等学校学習指導要領に対応し、かつ、利用大学のニーズを踏まえた良質な試験問題を作成するために、問題の内容に関する検討と統計情報を融合させた研究を 推進する。また、センター試験の多様な利用に対応するために、年度内複数回実施や得点の標準化に関する調査研究を行う。さらに、新たな形式の問題(総合的 な問題(教科・科目横断型の問題)や、普通教科「情報」等の導入に当たっての望ましい内容・方法等)について調査研究を行う。
② リスニングテストの実施結果等を検証し、実施方法等について改善を図るための調査研究を行う。
③障害のある者等のニーズに対応した特別措置の内容・方法等についての調査研究を行う。
 
(5)関連業務の受託と広報活動等の促進
センター試験のノウハウ等を有効活用し、他の公的試験に関する業務の円滑な実施に貢献するとともに、受託料収入の確保を図る観点から、本来業務に支障のない範囲で、国等が実施する公的試験に関する業務を積極的に受託する。
18歳人口の減少によるセンター試験志願者数の減少に伴い、検定料収入の減少が見込まれることも考慮し、志願者数を確保するため、積極的な広報活動を行い、新規の利用大学の増加に努める。
また、業務運営の透明性をさらに高め、国民の信頼に応えるため、センター試験に関する各種情報の公開を一層進める。

2.調査研究の充実による各大学の入学者選抜方法の改善への貢献

センター試験の実施等を通じて、我が国の大学入学者選抜方法の改善を推進するための中核的機関たるセンターの調査研究にふさわしいものとする観点から、センターが主体となって、各大学における入学者選抜方法の改善に関する調査研究の交流及び協力を行うとともに、それぞれの研究成果の公表の場を確保する等、調査研究内容の重点化や調査研究活動の活性化・効率化を図る。
 
 
(1)将来の大学入学者選抜の望ましい在り方を見据えながら、多様な選抜方法が導入されている大学入学者選抜をめぐる様々な課題に対応した実践的な研究を行うこ とが必要である。このことを踏まえ、研究の計画を立て、計画に従った研究を推進するとともに、研究水準の向上や競争的資金の導入を図る。
なお、大学が有する種々のデータや研究ポテンシャルを活用することが効果的なテーマ等については、大学の研究者とのネットワークの構築、共同研究の積極的な推進を図り、研究活動の活性化を図る。
 
(2)調査研究のテーマについて、各大学で実施することが適当なものとの重複を排除し、センターにおいて実施するにふさわしいセンター試験に関する調査研究や、国 が示した新たな教育制度に対応した入学者選抜の改善に関する調査研究に集中・特化し、理事長のリーダーシップの下、重要課題について一定の期限を付して重 点的に取り組むプロジェクト型の調査研究を重視する。
 
①大学入学者選抜の改善に関する調査研究
大学の入学者選抜方法の改善に関する国の施策に反映させるため、次のような分野について、研究計画を立案した上で、調査研究を行う。
ア大学における教育内容は社会のニーズにより変化することもある一方で、大学教育を受けるために最低限必要な学力は、ある程度普遍的なものであると考えられることから、大学教育を受けるに最低限必要な共通の学力に関する調査研究を行う。
イ高等学校教育の多様化等に伴い、大学入学志願者の能力・適性、履修歴等も多様化するとともに、大学自体の多様化・個性化も進んできている状況を踏まえ、高等学校教育と大学教育が円滑に接続するための方策に関する調査研究を行う。
ウ教科・科目の枠を超えた多様な学力を判定する方法に関する調査研究を行う。
 
②調査研究成果の公表及び評価
研究成果については、国が行う大学入学者選抜方法の改善の企画立案に資する基礎資料として提示するなど多様な手段で効果的に公表するよう努めるととも に、各大学との研究協議等を通じて、センター試験をはじめ我が国の大学入学者選抜の改善のために活用するよう促す。また、各大学が利用しやすいよう積極的 に公表するとともに、外部評価を含めた厳格な評価を行った上で、当該評価結果に沿った改善を図りつつ、成果が十分でない研究テーマについては、理事長の判 断により機動的に見直しを行う。
 
(3) 法科大学院適性試験の関係では、センターで蓄積した試験問題の作成や試験実施方法等に関する成果を基に、法科大学院適性試験の有効性をより高めていくために必要な調査研究を行う。
また、受託業務等においてセンターのこれまでの経験や専門的ノウハウを活かして法科大学院適性試験の円滑な実施に貢献することを通じて、その成果を広く一般に発信・普及する。
なお、調査研究の一環として試験的に実施してきた法科大学院適性試験は、その調査研究の成果を踏まえ新たな実施主体において法科大学院適性試験を継承して実施する体制が整えられた後、本中期目標期間中に終了する。

3.進路指導や進路選択に資するための適切な情報提供

大学入学志望者が、その能力・適性に応じた適切な大学進学が可能となるよう、また、高等学校の進路指導担当者が適切な進路指導を行うことに資するため、大学の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)をはじめ、大学に関する情報について、大学入学志望者等が入手しやすいようにインターネット等の方法により積極的に提供するとともに、高等学校関係者と大学関係者のコミュニケーションを図る場を設ける。
 
(1) インターネットによる情報提供
インターネットによって提供すべき情報の範囲は、大学入学志望者や高等学校の進路指導担当者からのニーズを踏まえ、
①各大学や民間においては十分、網羅的に提供されていない、 ②全国の大学に係る情報を横断的に検索することのニーズが高い、③大学の共同利用機関的機能を発揮することにより各大学から正確に入手することができる情報に厳選するとの観点から必要最小限のものに限定するとともに、大学入学志望者等の視点に立って、利活用しやすいものに内容を工夫し、積極的な情報提供に努める。
 
(2) 進路指導関係セミナーについて
高等学校関係者と大学関係者がコミュニケーションを図るためのセミナーを実施する。なお、必要に応じ、プログラムを見直して高校生等も参加できるように する。また、参加者数については、1地区当たりの人数が第1期中期目標期間における実数以上となるように内容の充実に努める。
なお、実施事業について、大学入学志望者、高等学校関係者及び大学関係者に対する満足度調査を行い、70%以上の満足度が得られるように情報提供の内容・方法等の改善に努める。

4.業務の公共性にかんがみ、法人の運営に関する情報などについて、毎年度、積極的な開示を行う。

IV 財務内容の改善に関する事項

自己収入の確保、予算の効率的な執行に努め、適切な財務内容の実現を図る。

1.自己収入の増加

積極的に外部研究資金、施設使用料、特許実施料等、多様な収入の方策を検討し、自己収入の増加に努める。また、自己収入額の取扱いにおいては、各事業年度に計画的な収支計画を作成し、当該収支計画による運営に努める。

2.固定的経費の節減

管理業務の効率化を図るとともに、効率的な施設運営を行うこと等により、固定的経費の節減を図る。
 
また、「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)において示された国家公務員の定員の純減目標及び給与構造改革を踏まえ、国家公務員に準じた人件費削減の取組を行う。

V その他業務運営に関する重要事項

施設・設備については、長期的視点に立った計画的整備を推進するとともに、障害のある者や高齢者に対してやさしい施設を目指す。