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平成22年度年度計画

独立行政法人大学入試センターの年度計画(平成22事業年度)
平成22年3月30日
文部科学大臣届出

Ⅰ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置

1.大学、高等学校その他の関係機関との連携協力に留意した組織を整備し、業務の効率化を図る。

(1)事務組織については、業務を精査し、必要に応じて改編するとともに国立大学等と人事交流を行う。
 
(2)研究組織については、円滑に研究が遂行されるよう研究組織内での連携協力体制及び事務組織との連携協力体制を見直すとともに、積極的に大学等と人事交流を行う。
 
(3)各種委員会組織の必要性を十分に踏まえた上で効率的な運営が可能となるよう適切に見直す。
 
(4)大学入試センター試験等業務の適切な管理運営や高等学校関係者との緊密な連携協力を行う体制について、効率的な運営が可能となるよう適切に見直す。

2.管理運営業務等の効率化を図る。

(1)国において実施されている行政コストの効率化を踏まえ、大学入試センター(以下「センター」という。)において実施している既存業務の徹底的な見直し、効率化を図り、一般管理費については3%以上、その他の事業費(新規業務・拡充業務は除く)においては1%以上の効率化を図る。
 
(2)「独立行政法人等の業務・システム最適化実現方策」(2005年6月29日各府省庁情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)を踏まえ、業務・システムの最適化に取り組む。
①国の行政機関の取組に準じて、「大学入試センター試験業務の業務・システム最適化計画」に係る監査計画の策定に取り組む。
②「大学入試センター試験業務の業務・システム最適化計画」に基づき、現行の「大学入試センター試験システム」を刷新するためのシステム開発を行う。あわせて業務改革を行い、システムコスト削減、システム調達における透明性の確保及び業務運営の合理化に取り組む。
 
(3)受験者の利便性に配慮しつつ試験会場の集約や試験問題等の印刷経費の削減を図る。
 
(4)進路指導セミナーの開催地区数は2地区とする。
 
(5)業務内容の見直しを行い、秘密保持に配慮しつつ外部委託を推進するとともに、既に外部委託を実施している業務についても、契約内容等を精査し、より一層の効率化を図る。
 
(6)自己点検・評価を行うとともに、外部委員で構成される組織による第三者評価を行い、必要に応じて業務の見直しを図る。

Ⅱ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

1.センター試験の確実な実施による適切な大学入学者選抜の実現への貢献

センター試験の円滑で適切な実施を実現するための業務を行う。
また、高等学校の教育内容の実態、大学からのニーズ及び入試改善に向けての国の審議会の答申等に対応し、センター試験の改善を図る。
 
(1) 試験問題作成及び採点等を適切に実施する。
 ① 良質な試験問題を作成する。
 ア 試験問題の作成経験者及び外部の学識経験者等からの意見を参考に、試験問題作成の基準等を定める試験問題作成要領を整備し、試験結果等に基づき見直しを行う。また、試験問題等に係る秘密保持体制について改善を進めるとともに、試験問題作成作業の効率の向上を図る。
 イ 試験問題は、分野別の専門家の協力を得て作成する。
 ウ 緊急事態に対応するため、緊急対応用試験問題を常備しておく。
 エ 試験問題の作成経験者及び高等学校関係者等で構成する委員会で、試験問題の出題範囲、出題内容、記述及び難易度等の点検並びに科目間の難易度調整及び出題内容等の重複回避のための点検を行う。
 オ 良質な試験問題を作成するため、試験問題を作成する大学教員等を配置するために必要な経費を確保するよう努め、適切に配分する。
 カ 試験実施後、自己点検・評価を実施するとともに、高等学校関係者等による試験問題の第三者評価を実施し、それぞれ70%以上が良問であるとの評価を得られるようにする。さらに学会等からも広く意見を求め、その結果を公表する。
 キ 問題作成委員の負担を軽減し、効率的に良質な試験問題を作成するため、教科書データベース検索システム及び試験問題データベースの改善・運用を行う。
 ② 大学との緊密な連携により、円滑に試験を実施する。
 ア 試験実施上想定される事例等を整理し、対応措置等について実施要領及び監督要領等の各種マニュアルを整備し、試験の実施結果に基づき見直しを行い、円滑に試験を実施する。
 イ 利用大学及び高等学校等に対して説明会の実施や、ホームページを活用することにより、試験実施上の留意点等について周知徹底を図る。
 ウ 新規利用大学等に対して、試験実施体制等について指導及び調査を実施する。
 エ 障害のある者等に対して、障害等の種類・程度に応じた試験時間の延長、出題・解答の方法等の受験上の特別措置を講ずるとともに、事前相談の充実を図る。
 オ 試験実施に係るセンターと各試験場設定大学との連絡体制について、業務の効率化を図るため情報技術を活用したシステムの拡充を検討する。
 カ 平成24年度センター試験から実施する地理歴史・公民及び理科の科目選択の弾力化、受験教科の事前登録制に対する具体的な実施方法について検討する。
 ③ 試験問題等の適切な管理及び輸送を実施する。
 ア 輸送要領等の各種マニュアルを整備し、試験の実施結果に基づき見直しを行い、適切な管理及び輸送を実施する。
 イ 秘密保持に十分留意した試験問題等の適切な管理体制及び安全な輸送体制を確保する。
 ウ 利用大学に対して説明会を実施し、当該大学における試験問題等の受領・返送及び管理上の留意点等について周知徹底を図る。
 エ 新規利用大学等に対して、試験問題の管理体制等について指導及び調査を実施する。
 ④ 正確な成績処理及び成績提供を実施する。
 ア 成績提供要領等の各種マニュアルを整備し、試験の実施結果及び利用大学のニーズに基づき見直しを行い、正確な成績処理及び成績提供を実施する。
 イ 電子計算機及び光学式マーク読取装置を適切に管理・運用する。
 ウ 利用大学に対して説明会を実施し、成績請求データ等の取扱い及び成績請求・提供業務の留意点等について周知徹底を図る。
 エ 新規利用大学等に対して、成績請求データ等の取扱い等について指導及び調査を実施する。
 オ 試験成績の開示を希望する受験者本人に対して、当該年度の入学者選抜の全体日程終了後に試験成績を開示する。
 
(2) センター試験の改善に資するため、以下の調査研究を行う。
 ① 新高等学校学習指導要領に対応したセンター試験を実施するため、出題教科・科目等を検討する。
 ② 平成22年度センター試験データの試験問題統計情報データベースを構築する。また、過去問利用及び作題支援の観点から、試験問題関連情報の電子的組織化と検索システムの高機能化について研究を行う。
 ③ 基礎的な学力を測る総合基礎試験について、過去の研究結果を踏まえ、被験者に対する追跡調査研究等を行う。
 ④ センター試験の複数年度利用や資格試験的取扱いにより生ずる成績の標準化等の課題について、試験の公平性の観点から研究を行う。
 ⑤ 普通教科「情報」、「数学基礎」及び「理科基礎」に関し、出題の可能性について検討するため、高等学校における実施状況や大学のニーズを把握するための調査研究を行う。
 ⑥ センター試験が現段階で担っている役割について検討するため、高校生の進学行動に関する調査研究を行う。
 ⑦ リスニングテストの実施結果等を検証し、実施方法等についての改善を図るための調査研究を行う。
 ⑧ 障害のある者を含む全ての受験者に配慮したセンター試験の設計に関する研究を、大学等の研究者と共同で行う。
 
(3) 関連業務を受託し、広報活動等を促進する。
 ① 国等が実施する公的試験に関する業務について、本来の業務に支障のない範囲で受託し、受託料収入の確保を図る。
 ② 新規利用大学の増加が図られるよう、積極的な広報活動等を行う。
 ③ センター試験に関する各種情報の公開を一層進める。

2.調査研究の充実による各大学の入学者選抜方法の改善への貢献

(1)入学者選抜方法の改善に関する調査研究 大学の入学者選抜方法の改善に資するため、次に掲げる研究課題に対応した研究体制を確立し、計画的に研究を推進する。研究の実施に当たっては、研究費の効率的な執行とともに科学研究費補助金等の競争的資金を積極的に活用する。また、「研究開発部活動報告」を作成して厳格な評価を行う。なお、重要課題については一定の期限を付して重点的に実施する。
①教科科目横断型試験の内容分析を行うとともに、論理的思考力に関する基本能力の一つである言語運用能力の総合的評価について調査研究を行う。
②学生が、高等学校から大学へ円滑に移行できるよう、高校生の進路選択に関する調査研究を行う。
③リスニングテストの定着過程と波及効果に関する研究を実施する。
 
(2)各大学との連携の推進
調査研究成果を我が国の入学者選抜の向上に効果的に反映させるため、大学等の外部機関と連携して次の事業を実施する。
①各大学の入学者選抜方法の改善に資するため、センターが主体となり、各大学と連携して入学者選抜研究協議を実施する。また、入学者選抜方法の改善に関する研究の一層の向上と普及を目指して、研究者ネットワークの構築を図る。
②大学全入時代に即した学力把握のための仕組み、入学者選抜における障害者への配慮及び入試評価システムの構築について、大学等と連携し共同プロジェクト研究を実施する。
 
(3)法科大学院適性試験に関する調査研究
①調査研究の一環として行ってきた法科大学院に入学を志願する者に対し実施される適性試験(以下「法科大学院適性試験」という。)の試験的実施は、以下の実証的調査研究として行い、平成22事業年度をもって終了する。
ア法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の資質を適切に測定するための試験問題の作成
イ法科大学院適性試験の正確な成績処理及び成績提供
ウ法科大学院適性試験の実施方法や実施結果等の分析・評価及び成果の公表
②試験的実施を通じて蓄積した試験問題の作成・試験の実施方法等に関する成果を基に、法科大学院適性試験の有効性をより高めていくために必要な調査研究を行う。
③受託業務等においてセンターのこれまでの経験や専門的ノウハウを活かして法科大学院適性試験の円滑な実施に貢献することを通じて、その成果を広く一般に発信・普及する。

3.進路指導や進路選択に資するための適切な情報提供

大学入学志望者が、その能力・適性に応じた適切な大学進学が可能となるよう、また、高等学校の進路指導担当者が適切な進路指導を行うことに資するため、インターネット等の方法により大学に関する情報を提供するとともに、高等学校関係者と大学関係者のコミュニケーションを図る場を設ける。
 
(1)インターネットを利用したハートシステムにより、適切な大学進学情報の提供を行う。
なお、提供する大学進学情報は、全国の大学と連携し、民間において網羅的に提供されていないアドミッションポリシー等の進路選択に必要な情報並びに教育内容、取得できる資格、卒業後の進路等の入学後の情報も含めて収集し、横断的に検索できるようにする。
また、ハートシステムに対する利用者の意見・要望等を収集し、大学入学志望者等の視点に立って、利活用しやすいものに適宜改善を行う。
 
(2)主として高等学校における進路指導の利便性を考慮し、印刷物による大学進学情報の提供を行う。
 
(3)高等学校関係者と大学関係者がコミュニケーションを図るためのセミナーを大学等と共同で実施する。
セミナーについては、高校生等も参加できるようプログラムを工夫するとともに、参加者数の増加を図るため、広報は開催地区の大学等と共同して行うこととし、開催地区の大学入学志望者及び高等学校関係者のニーズを踏まえたプログラムを企画する。
さらに、大学入学志望者、高等学校関係者及び大学関係者に対する満足度調査を行い、70%以上の満足度が得られるようにする。

4.業務の公共性にかんがみ、管理・運営に関する情報及び事業等に関する情報等を積極的に公開する。

(1) 情報公開に係る窓口の整備を行うとともに、法令で定められた財務諸表等の情報を公開する。
(2)管理・運営及び事業等の情報を、ホームページ等を活用して積極的に公開する。

Ⅲ 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画

1.当該年度に係る予算(人件費見積りを含む。)

事業を適切に実施するために必要な予算額を計上
(単位:千円)
収入 10,821,268
運営費交付金 79,580
検定料 9,552,000
成績提供手数料 743,280
成績開示提供手数料 312,440
適性試験受験料 103,000
その他 30,968
支出 10,821,268
  業務経費 10,582,244
   うち 人件費 789,775
      試験実施経費 9,508,951
      大学進学情報経費 58,369
      入学者選抜方法改善研究経費 122,149
      適性試験経費 103,000
 一般管理費 239,024
   うち 人件費 180,704
       物件費 58,320

2.当該年度に係る収支計画

事業を適切に実施するために必要な収支計画を立案
(単位:千円)
費用の部              
10,531,457
  経常費用              
10,531,457
   試験実施経費            
9,105,613
   大学進学情報経費          
58,369
   入学者選抜方法改善研究経費     
122,149
   適性試験経費            
103,000
   業務人件費             
789,775
   一般管理費             
239,024
      うち 人件費            
180,704
      物件費               
58,320
   減価償却費             
113,527
財務費用              
0
 
収益の部             
10,923,519
   運営費交付金収益          
79,580
   検定料収入             
9,552,000
   手数料収入             
1,055,720
   適性試験受験料収入         
103,000
   資産見返運営費交付金戻入      
92,126
   資産見返物品受贈額戻入       
9,187
   資産見返寄附金戻入         
938
   雑収入               
30,968
   
純利益               
392,062
総利益               
392,062

3.当該年度に係る資金計画

事業を適切に実施するために必要な収支計画を立案
(単位:千円)
資金支出              
12,105,727
  業務活動による支出         
10,417,930
  投資活動による支出         
403,338
  財務活動による支出         
0
  次年度への繰越金          
1,284,459
資金収入              
12,116,548
  業務活動による収入         
10,821,268
   運営費交付金による収入       
79,580
   その他の収入            
10,741,688
  投資活動による収入         
0
  財務活動による収入         
0
  前年度よりの繰越金         
1,295,280

4.人件費の削減

国家公務員の給与構造改革を踏まえ、役職員の給与について、必要な見直しを行う。

Ⅳ 短期借入金の限度額

30億円(年度当初の運営資金、収入不足への対応のための経費に必要となる可能性があるため。)

Ⅴ 重要な財産を譲渡し、又は担保する計画

今期間中は特になし

Ⅵ 剰余金の使途

センター試験の充実・改善、質の向上
特に高等学校学習指導要領が改訂された場合の緊急対応用試験問題の作成に係る経費に充てる。

Ⅷ その他主務省令で定める業務運営に関する事項等

1.施設・設備に関する計画

業務の実施状況等を勘案した施設設備の整備(光学式マーク読取装置等)や、防災、セキュリティの確保、安全な勤務環境の確保の観点から、必要な施設設備の改修等を行う。

2.人事に関する計画

(1)方針
人事に関する計画の策定・実施により、適切な内部管理事務を遂行する。
 
(2)人員に係る指標
常勤職員については、適宜、業務等を精査し、職員数の適正化に努める。