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平成24年度年度計画

独立行政法人大学入試センターの年度計画(平成24事業年度)
平成24年3月30日
文部科学大臣届出

Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

1.大学入試センター試験

大学に入学を志願する者の高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的として大学が共同して実施する大学入試センター試験(以下「センター試験」という。)に関し、問題作成、試験の実施、答案の採点・成績提供及びその他一括して処理することが適当な業務を滞りなく確実に実施するため、以下のことを円滑かつ適切に行う。
センター試験は、大学が共同して実施しているものであることを踏まえ、実施主体である参加大学の役割を明確にするとともに、参加大学の意思がより適切に反映されるよう、センター試験に係る各種委員会等の運営方法等の見直しを行う。
 
(1)センター試験の問題作成
高等学校学習指導要領に準拠した良質なセンター試験の問題を作成するため、以下のことを行う。
①試験問題の作成に当たっては、試験問題作成の基準等を定める試験問題作成要領を整備し、試験問題の作成にあたる委員に対して周知徹底する。
その上で、試験問題の作成にあたる委員の業務量を削減しつつ、秘密保持にも留意しながら、これまでのセンター試験実施結果を踏まえ、毎年問題を作成し、試験問題の出題範囲、出題内容、記述、難易度等の点検を厳格に行う。
②センター試験実施後、試験問題に関して外部評価及び自己点検・評価を行い、それぞれ70%以上が良問であるとの評価を得られるようにする。評価結果については、ホームページで公開する。
その評価結果を次年度以降の問題作成に反映する。
 
(2)センター試験の円滑な実施
センター試験に参加する国立、公立、私立の各大学等との緊密な連携により、同一の期日に同一の試験問題により行われるセンター試験を円滑に実施する。
特に、平成24年度センター試験において発生したトラブルの検証結果を踏まえ、試験問題冊子の在り方、各種マニュアル、入試担当者連絡協議会、その他試験実施方法について、所要の改善を図り、平成25年度以降のセンター試験における再発防止に努める。
①センター試験に関する業務を統一的に着実に実施するため、試験問題冊子の在り方やセンター試験参加大学に配布する実施・輸送・監督等に関する各種マニュアルを、参加大学の意見を踏まえ、分かりやすく改善する。
受験者及び高等学校に配布する受験案内等も、高等学校関係者の意見を踏まえ、分かりやすく改善する。
②参加大学に対しては、入試担当者連絡協議会を開催し、センター試験の実施・輸送・監督の留意点等について簡潔に分かりやすく説明するとともに、各参加大学において学内関係者に周知徹底を図るよう要請する。
また、教育委員会を含む高等学校関係者に対しては、説明協議会を開催し、出願手続き、受験上の留意点について簡潔に分かりやすく説明するとともに、各学校において生徒に周知するよう要請する。
③秘密保持及び個人情報の取扱いに十分留意した試験問題等の適切な管理及び輸送を実施する。
特に、2次輸送等を行う参加大学に対しては、試験実施本部と各試験場間の試験問題等の輸送が確実に実施されるよう、確認の徹底を要請する。
④障害のある者等に対して、障害等の種類・程度に応じた試験時間の延長、出願・解答の方法等の受験上の特別措置を実施する。
⑤緊急事態に対応するため、大規模災害時の危機管理について検討するとともに、緊急対応用試験問題を常備するなど必要な措置を講じる。
 
(3)センター試験の採点・成績提供
①成績請求データ等作成及び取り扱いの留意点等について周知徹底するため、成績提供要領等の各種マニュアルを整備するとともに、参加大学に対する説明会を開催する。
②情報処理システムを適切に管理・運営し、正確な採点及び成績提供を行う。
③試験成績の開示を希望する受験者本人に対して、当該年度の入学者選抜の全体日程終了後にセンター試験の成績を確実に通知する。
 
(4)特に本中期目標期間中に実施すべき事項
新高等学校学習指導要領に対応したセンター試験を確実に実施するため、以下のことについて出題教科・科目、出題範囲及び出題方法を決定した上で、試験問題の作成、情報処理システムの整備を計画的に行う。
①「数学」及び「理科」について(平成27年1月実施の平成27年度センター試験から実施)
試験問題作成に係る諸課題及び出題内容等について、引き続き調査研究を行い、必要に応じ、出題方法等を公表するとともに、試作問題を作成する。
②「数学」及び「理科」以外の教科について(平成28年1月実施の平成28年度センター試験から実施)
試験問題作成に係る諸課題及び出題内容等について調査研究を行う。

2.大学の入学者選抜方法の改善に関する調査研究

我が国の大学入学者選抜方法の改善について調査研究を行う中核的機関として、センターが主体となり、各大学等と連携協力し、調査研究を行う。
 
(1)調査研究の在り方及び体制
調査研究テーマは、センター試験の実施を基幹事業とする法人としてよりふさわしいものとする観点から、真に必要な課題に厳選し、センター試験に関する調査研究と大学入学者選抜の改善に関する調査研究に集中・特化する。
センター試験及び各大学における入学者選抜方法の改善に資するため、「(2)センター試験に関する調査研究」及び「(3)大学入学者選抜方法の改善に関する調査研究」に掲げる研究課題に対応した研究体制により、計画的に研究を行う。
なお、重要かつ喫緊の課題については、一定の期限を付して重点的に実施する。研究の実施に当たっては、研究費の効率的な執行とともに科学研究費補助金等の競争的資金を積極的に活用する。
特に社会的要請が高い課題は迅速に取り組み、センター内はもとより国内外の大学、研究機関と連携して研究し、研究成果を得て、積極的に各大学に発信する。
 
(2)センター試験に関する調査研究
センター試験の改善に資するため、国の審議会等においてセンター試験の改善について指摘されている内容も踏まえ、次に掲げる研究課題について、計画的に調査研究を行うとともに、研究成果のうち可能なものからセンター試験に反映していく。
①得点調整に関するテスト理論的研究
②モニター調査を活用したセンター試験の調査研究
③リスニングテストの実施結果や成果等を検証し、その改善を図るための調査研究
④試験問題統計情報・関連情報の組織化に関する調査研究
 
(3)大学入学者選抜方法の改善に関する調査研究.
大学の入学者選抜方法の改善に資するため、以下の調査研究を行う。
①大学全入時代に対応した新しい大学入試の在り方に関する調査研究
ア新しい高大接続システムに関する調査研究
イ新しい試験の開発に関する調査研究
②障害のある者に配慮した入学者選抜に関する調査研究
アテストのユニバーサルデザインの調査研究
イ発達障害者の特別措置に関する調査研究
 
(4)調査研究成果の公表及び評価
調査研究成果については、センター試験をはじめ我が国の大学入学者選抜方法の改善に資するため、以下のことを行う。
①各大学及び研究者が利用しやすいよう積極的にホームページ等で公表する。
②国内外の学会や学会誌で発表する。
③国が行う入学者選抜方法の改善の企画立案に資する基礎資料として提供する。
④入学者選抜に関する研究協議を行う全国大学入学者選抜研究連絡協議会を、センターが主体となり、各大学と連携して開催する。
また、外部評価を含めた厳格な評価を行った上で、当該評価結果に沿った改善を行い、成果が十分でない研究テーマについては、理事長の判断により機動的に見直す。

3.大学情報の提供等

(1) 大学入学志望者や高等学校の進路指導担当者に対し、センター試験に参加する大学の学部・学科名やセンター試験の教科・科目など、センター試験に関する情報を中心に、センター試験を実施する上で必要な情報をインターネット等の方法により提供する。
 
(2) 参加大学等の拡大を図るため、参加していない大学や学部等に対して積極的な広報活動を行う。

4.情報の公開

業務の公共性にかんがみ、中期計画、事業報告書、財務諸表及び諸規則など運営に関する情報を開示するため、ホームページ等を活用して積極的に公開する。

Ⅱ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置

1.組織体制

(1)平成24年度センター試験の検証結果を踏まえ、平成25年度以降のセンター試験を確実に実施するため、特に事業部の組織体制を強化するとともに、各事業の継続性にも十分に留意しつつ人員の適正な配置に努める。
また、大学、高等学校その他の関係機関と連携協力し、効果的かつ円滑な業務運営を行う。
 
(2)研究組織については、円滑に研究が遂行されるよう研究組織体制を必要に応じて見直す。

2.業務運営

(1)センターにおいて実施している既存業務に関しては、受験者のニーズに配慮した上で内容を精査し、徹底的に見直すことで更なる合理化・効率化を進めるとともに、参加大学等の拡大に努めることなどにより自己収入の増に努め、運営費交付金に頼らないような構造での運営を目指す。
また、一般管理費及び事業費のうち固定的な経費※は、平成22年度を基準として、2.0%以上の効率化を図る。
 
※固定的な経費=(一般管理費+事業費)-変動費-特殊業務経費-退職手当
変動費=受験者の増減により変動する経費
 
(2)受験者の利便性及び都道府県別の参加大学数等を勘案しつつ、試験場の集約に取り組む。
また、試験問題等の印刷経費等の見直し策について、引き続き検討する。
 
(3)業務全般について、競争性を確保する観点から「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)に基づく取組を実施し、秘密保持に留意した上で、適正に契約を行うとともに、自己点検・評価や外部評価を実施し、その結果を踏まえた上で、業務の内容を見直し、更なる合理化・効率化を行う。

Ⅲ 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画

1.当該年度に係る予算(人件費見積りを含む。)

事業を適切に実施するために必要な予算額を計上
(単位:千円)
収入     11,254,701
  検定料 10,074,000
  成績提供手数料 833,910
  成績開示提供手数料 335,914
  その他 10,877
支出 11,254,701
  業務経費 11,005,974
   うち 人件費 760,114
       試験実施経費 10,052,703
      センター試験情報提供経費 17,009
      入学者選抜方法改善研究経費 176,148
一般管理費 248,727
   うち 人件費 190,407
       物件費  58,320

2.当該年度に係る収支計画

事業を適切に実施するために必要な収支計画を立案
(単位:千円)
費用の部 11,405,949
    経常費用 11,405,949
     試験実施経費 10,039,280
     センター試験情報提供経費 17,009
     入学者選抜方法改善研究経費 174,468
     業務人件費 760,114
     一般管理費 248,727
       うち 人件費 190,407
           物件費 58,320
     減価償却費 166,351
    財務費用 0
   
  収益の部 11,355,847
    検定料収入 10,074,000
    手数料収入 1,169,824
    資産見返運営費交付金戻入 94,786
    資産見返物品受贈額戻入 5,942
    資産見返寄附金戻入 418
    その他収入 10,877
   
  純利益 △50,102
  前中期目標期間繰越積立金取崩額  52,501
  総利益 2,399

3.当該年度に係る資金計画

事業を適切に実施するために必要な収支計画を立案
(単位:千円)
資金支出
11,941,255
   業務活動による支出
11,239,598
   投資活動による支出
15,103
   財務活動による支出    
0
   次年度への繰越金
686,554
  資金収入
11,935,457
   業務活動による収入
11,254,701
    その他の収入 
11,254,701
   投資活動による収入 
0
   財務活動による収入
0
   前年度よりの繰越金 
680,756

4.自己収入の増加

参加大学等の拡大など積極的に多様な収入の方策を検討し、自己収入の増加に取り組む。また、自己収入額の取扱いにおいては、各事業年度に計画的な収支計画を作成し、当該収支計画に基づき運営する。

5.人件費の削減

給与水準については、国家公務員の給与水準を十分配慮し、手当を含め役職員給与の在り方について厳しく検証した上で、センターの業務の特殊性を踏まえた適正な目標水準・目標期限を設定し、その適正化に取り組むとともに、検証結果や取組状況を公表する。
平成24年度以降は「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成22年11月1日閣議決定)に基づき、政府における総人件費削減の取組み及び今後進められる独立行政法人制度の抜本的な見直しを踏まえ、厳しく見直す。

Ⅳ 短期借入金の限度額

30億円(年度当初の運営資金、収入不足への対応のための経費に必要となる可能性があるため。)

Ⅴ 不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産の処分に関する計画

今期間中は特になし

Ⅵ 不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産以外の重要な財産の譲渡又は担保に関する計画

今期間中は特になし

Ⅶ 剰余金の使途

不測の事態への対応やセンター試験の充実・改善、質の向上に係る経費に充当する。
特に高等学校学習指導要領の改訂に伴う緊急対応及び経過措置用試験問題の作成に係る経費に充当する。

Ⅷ その他主務省令で定める業務運営に関する事項等

1.施設・設備に関する計画

センター試験の秘密保持に留意した上で、長期的視点に立った施設・設備の整備を行うとともに、防災、セキュリティの確保、安全な勤務環境の確保の観点から、必要な施設・設備の改修等を行う。
なお、保有資産については、その必要性について不断に見直しを行い、センター試験に支障がないよう適切に対応する。

2.人事に関する計画

(1)方針
人事に関する計画を策定し、人材の確保、育成及び適正配置を行うとともに職員の資質向上を図るため、大学等との人事交流を行う。
 
(2)人員に係る指標
常勤職員については、その職員数の抑制を図る。

3.積立金の使途

前中期目標期間の最終事業年度において、独立行政法人通則法第44条の処理を行ってなお積立金があるときは、その額に相当する金額のうち文部科学大臣の承認を受けた金額について、不測の事態への対応や高等学校学習指導要領の改訂に伴う緊急対応及び経過措置用試験問題の作成に係る経費に充当する。

4.内部統制

理事長のリーダーシップの下、センターのミッションを周知徹底するなど、内部統制を充実・強化する。

5.情報セキュリティ

センター試験の実施機関として、情報セキュリティポリシー等に基づき、適切な情報セキュリティ対策を行う。